2018年 7月

 6月10日~24日、原水爆禁止国民平和大行進に参加して県内全市町を訪問し、各自治体における「原爆と人間展」の開催計画と「ヒバクシャ国際署名」の取り組みにつき、改めて集計しました。

 その後、「ヒバクシャ国際署名」に賛同いただいた首長・議長に追加訂正がありましたので再度掲載します。

 

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30年史発刊にあたって

今こそ核兵器の廃絶を

代表世話人 五十嵐正博

 今年6月23日、沖縄「慰霊の日」、沖縄戦終焉の地、糸満市摩文仁の丘を望む平和祈念公園の演壇の前に、凛として立った一人の少女は、風に揺れる髪に手をやると、正面をしっかり見据え、「私は生きている」と語り始めました(後掲)。少女は、沖縄戦で失われた犠牲者すべての無念の叫びを全身で受け止め、「戦争は絶対に許さない」、「命よ響け。生きてゆく未来に」との固い決意を沖縄の空に響かせました。その場にいた、ときに「国難」を叫び、「国家のために人がいる」という倒錯した信念を持ち、「米国の核の傘」の下で「日米は100%共にある」とのたまう人物は、真顔を装いつつ「沖縄の基地負担の軽減に全力を尽くす」と、いつもの「嘘八百」を並べたてました。少女の声などどこ吹く風、「原爆の日」に核兵器禁止条約に一切言及せず、被爆者の方から「あなたはどこの国の総理ですか」と詰問されても平然としていた人物です。彼は摩文仁の丘にいてはいけなかった。私たち自身、このような人物を首相に持つことを恥じなければなりません。

 二十世紀は「戦争の世紀」「大量殺りくの世紀」でした。第二次大戦末期、悪魔の兵器「原爆」が作られ、広島・長崎に投下されて以降、「核兵器廃に固絶」のためのさまざまな試みが行われてきました。核実験の禁止・運搬手段の制限・非核兵器地帯の設置などです。1988年、本会が設立され、以来、石川県内を中心に多くの方に支えられて、さまざまの活動を地道に行ってきました。本誌所収の年表をご覧いただければ、その一端をご理解いただけるでしょう。たとえば、2012年からは「平和事業に関する自治体アンケート」を毎年実施してきましたが、そこに至るまでの地ならしがあったのです。また、この10年間で特筆すべきは、会報「非核・いしかわ」の編集委員会の集団体制を確立したことです。本会の「会報」は、独創性豊かで、かつ献身的な編集委員の皆さんの努力の賜物であり、「非核の政府を求める会」(全国組織)でも高い評価をえています。「会報」は会員だけでなく、県内の各自治体などにも配布されています。

 昨年、「核兵器禁止条約」が採択され、ICANがノーベル平和賞を受賞しました。被爆者の人たちをはじめとする多くの人たちの長年にわたる粘り強い努力の成果です。日本は、核兵器国と非核兵器国との橋渡しの役割を果たすべきとの意見があります。しかし、核兵器国と非核兵器国の立場の隔たりを深めてきたのは唯一の戦争被爆国日本政府です。非核兵器国に核兵器国とどんな妥協をせよというのでしょうか。核兵器廃絶をしなければならないのは核兵器国であり、「核の傘」の下にある国は、その傘を脱して敢然と核兵器廃絶の立場に立たなければなりません。

 核兵器禁止条約の発効、さらに、すべての核兵器国が核兵器を廃絶するまで私たちの運動は続くことになります。核兵器廃絶のために、「非核の政府」を作りましょう。それは、「平和憲法を活かす政府」を作ることに外なりません。

(金沢大学・神戸大学名誉教授)

30年史発刊にあたって 

40周年に向けての提言

代表世話人 井上英夫

 非核の政府を求める石川の会は1988年結成以来30周年を迎えました。この間、会員の皆様そして平和を望むすべての人々とともに多様な活動を展開してきました。2006年には、平成大合併後の自治体も含めて県内全自治体の「非核・平和自治体宣言」採択を実現しました。その後も平和教育等宣言の実質化のための取り組みを続けています。

 私たちの活動は、NPT核不拡散条約さらには核兵器禁止条約等、世界の人々の平和を求める声に連帯するものでした。また、最近の南北朝鮮の和平への大きな動きとも連なるものでしょう。もちろん、ここで、気を許すわけにはいきません。トランプ、金正恩という二人の「独裁者」の核抑止力論を背景とした、力の「和平」ですから。

 しかも、眼を日本に転ずれば、安倍政権は、原発に固執し、核兵器保有すら狙っているといわざるを得ません。そのため、国民の人権であり、国の義務である社会保障の「公助」への変質、予算削減・後退、さらには憲法改悪を急いでいます。日本は、第二次大戦後の1950年代、朝鮮戦争・再軍備そして社会保障予算大削減のとき以来の危機的状況にあるといえるでしょう。

 このような時、非核石川の会は、これまでの30年の財産を活かし、より強力な活動を展開しなければなりません。30年にわたる皆様の運動に敬意を表し、感謝申し上げるとともに、40周年にむけて次の三点を提言したいと思います。

1. 平和的生存権の再確認-憲法9条と25条は一体である

 日本国憲法前文は、「恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」と、平和的生存権をはっきりうたっています。戦争やテロの「恐怖」から免れるために、憲法9条は戦争、軍備を放棄し、「欠乏」すなわち飢餓や貧困から免れるために、25条で生存権、生活権、健康権、文化権の保障とその具体化としての社会保障、社会福祉、公衆衛生の向上・増進を謳っています。人権保障は平和でなければなりたたない。しかし、真の平和とは人権がすべての人に保障された状態である。社会保障をはじめとする人権を確立する運動はそれ自体が平和運動に他ならない。すなわち、9条と25条は一体なのです。

 私は、非核石川の代表として、2010年、2015年のNPT核不拡散条約再検討会議に参加しました。そして、昨年7月7日、私が理事長をつとめる日本高齢期運動サポートセンターの代表団は、ニューヨーク国連ビル一階の会議場にいました。国連NGOとして、高齢者人権条約制定のための第8回作業部会に参加していたのです。当日は、二階の会議場で核兵器禁止条約が採択されるという歴史的な日となりました。平和と人権はまさに表裏一体であると実感でき、胸が震えました。

2. 権利は闘うものの手にある-闘争史観と人類的視点

 憲法97条は、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と規定しています。

 ここに言う「努力」とは、英文憲法ではStruggleであり闘争です。日本の人々にとどまらず人類全体の革命をはじめとする「権利のための闘争」によってこそ人権・権利は勝ちとられてきたという闘争史観・人類的視点、さらには未来志向を学ぶべきでしょう。そして、憲法第12条は、人権保持、発展のため、厳しい「不断の努力」義務を国民に課しています。

 ところが、自民党憲法改正草案では、人権の本質としての「権利のための闘争」を否定し、この97条は全文削除です。支配者や政府にとって一番怖いのが、この闘争史観だということでしょう。私達の「不断の努力」を強め、憲法97条を死守し、憲法9条、25条を保持し、発展させましょう。

3. 非核の意味を問う-原発廃止に向けて

 最後に、原発廃止についてです。イラン、北朝鮮の例を見るまでもなく、原子力発電所の存在は核燃料、核兵器製造の大前提です。福島原発の爆発・被爆を経験しながら、何故、安倍政権は原発に固執するのか。強欲な資本家のための輸出政策の一方、本音は核保有にあるとしか思われません。こうした状況に鑑みれば、私たちの掲げる非核とは核兵器はもちろん原発を含み、非核の運動は、原発廃止運動へと発展、連帯するものとならざるをえないのではないでしょうか。 

(金沢大学名誉教授・佛教大学客員教授)

                                                                                             目 次

40周年に向けての提言                 代表世話人 井上英夫   2

今こそ核兵器廃絶を                  代表世話人 五十嵐正博  3

若い世代に引き継ぐ                         原 和人   4

非核の政府を求める石川の会 30年の歩み(年表・ダイジェスト)           5

宣言推進の力―情勢の発展と会の評価の高まり            森  昭   7

非核の政府を求める石川の会 その後の10年の歩み(年表)                  9

核兵器禁止条約の要点                                                     14

非核自治体運動の多様な活動と前進の展望               神田順一    15

【資料1】県内自治体の平和首長会議への加盟推移                            21

【資料2】2018年度平和事業に関する自治体アンケートの集計結果          22

【資料3】県内自治体の平和祈念碑、宣言塔、標柱、懸垂幕                   25

結成総会から第30回総会までの総会記念事業一覧                             27

結成総会(1988年)及び第30回総会(2018年)選出役員名簿              30

非核の政府を求める石川の会 設立趣意書及び運営要項                  32

団体会員・友誼団体からのメッセージ                                        34

30年史発刊にご協力頂いた団体名                                         37

2018年6月23日(沖縄慰霊の日) 平和の詩「生きる」                40

編集後記                                                                   41

  *本文中の絵手紙は、会報「非核・いしかわ」に毎号掲載している金沢医療生活協同組合・絵手紙班の皆さんの作品です。

【編集後記より】

 非核の政府を求める石川の会では10年史、20年史を発刊しており、「その後の10年の歩み」を中心に30年史の編集をおこないました。節目の年における「年史づくり」は、これまでの活動を検証し、記録することにとどめず、さらなる飛躍、確かな展望を切り拓くための大事な取り組みです。この年史づくりを通じて、石川の会の存在意義を再確認するとともに次世代を担う人たちへの道標となることを願っています。(神田順一)

 

 

 

 非核の政府を求める石川の会は、会報「非核・いしかわ」第240号(2018年7月20日付)を発行しました。サイドメニューの会報「非核・いしかわ」、「絵手紙」も最新情報を追加しました。

●サイドメニューの「非核・いしかわ」紹介をクリックすると、A4判にリニューアルした第150号(2011年1月20日付)以降のバックナンバーをすべて閲覧できます。

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 6月10日~24日、原水爆禁止国民平和大行進に参加して県内全市町を訪問し、各自治体における「原爆と人間展」の開催計画と「ヒバクシャ国際署名」の取り組みにつき、改めて集計しました。

 各自治体における「ヒバクシャ国際署名」は2,445筆寄せられました。

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