2019年 6月
非核の政府を求める石川の会も参加している原水爆禁止国民平和大行進石川県実行委員会では、「非核・平和の自治体づくり」の視点から毎年平和行進への首長メッセージを依頼しています。
今年の平和行進では、県内20自治体のうち石川県知事と珠洲市長以外の18自治体からメッセージが寄せられ、中能登町、宝達志水町、野々市市は首長、議長が行進団の出発式or到着式に参加してメッセージ披露がありました。
2017年7月、国連で採択された核兵器禁止条約にふれた輪島市長、七尾市長、白山市長のメッセージを紹介します。
「2019年 原水爆禁止国民平和大行進」メッセージ
「原水爆禁上国民平和大行進」61周年を心からお祝い申し上げます。
皆様におかれましては、1958年から61年間という永きに亘り、反核・平和を願い、立ち止まることなく歩み続けてこられました。そして、一昨年7月7日、ついに国連で核兵器禁止条約が採択にいたりました。
このことは、皆様の「核兵器の無い世界をつくろう」という長年の努力が結実したものであり、誠に喜ばしく、心から敬意を表するものであります。
さらには、世界の人々の平和への強い願いから、核保有国の非核化や核軍縮に向けた動きも出てきております。このような状況の中、一刻も早く、核兵器のない平和な未来を実現するために、共に連帯し頑張りましょう。
令和元年6月9日
輪島市長 梶 文秋
2019年原水爆禁止国民平和大行進 市長メッセージ
日時:令和元年6月10日(月)18 : 00-
場所:七尾市役所前
原水爆禁上国民平和大行進の開催にあたり、原水爆禁止石川県協議会をはじめ、本日お集まりの皆さまにご挨拶申し上げます。
広島、長崎の原爆投下から、今年で74年を迎えようとしております。我が国、そして世界では、恒久平和の実現を求めて様々な取り組みがなされております。一昨年7月には、国連で核兵器禁止条約が採択されたところであり、現在70ヶ国が調印し、23ヶ国が批准していると伺っております。これらは核兵器の廃絶に向けた大きな前進であり、皆さまの運動をはじめとした草の根の取り組みが粘り強く続けられてきた成果であり、心より敬意を表します。
しかしながら、世界には未だ核兵器が存在し、各地で紛争やテロ行為により尊い命が失われています。北東アジアの非核化に向けても、予断を許さない情勢が続いております。世界で唯―の被爆国である私たちは、人類が三度と悲惨な経験を繰り返すことのないよう、確固たる意志を持って核の根絶を訴えていかなければなりません。
同時に、戦争の記憶を風化させることなく語り伝え、平和を愛する心を次世代に引き継いでいくことが大切です。皆さまの運動により、平和への思いが世界へと広がることを心より期待申し上げます。また当市においても、毎年8月に行っている「平和展」をはじめとした取り組みを通じて、市民の皆さまとともに平和の大切さを真摯に見つめて参りたいと思います。
最後になりましたが、本日の平和大行進の目的を達成できますこと、また、皆さま方のご活躍とご健勝をお祈り申し上げ、私のメッセージとさせていただきます。
令和元年6月10日
七尾市長 不嶋 豊和
2019年原水爆禁上国民平和大行進へのメッセージ
2019年原水爆禁止国民平和大行進にご参加の皆様、大変ご苦労様です。
この運動は、核兵器の廃絶を願う多くの方々が参加され、今年で61周年を迎える国民的行動であり、長きにわたりこの地道な運動に関わってこられた関係者の皆様には、深く敬意を表します。
核兵器の廃絶と恒久平和の実現は、唯一の被爆国である我が国はもとより、平和を求めるすべての国々の願いであります。しかしながら、依然として世界各地では紛争やテロ行為があとを絶たず、真の平和ヽの道のりは、大変険しいと言わざるを得ません。
このような状況の中、平和を求める人々は、核兵器廃絶と平和社会の実現に向けた断固とした行動を示し、平和の尊さ、大切さを次の世代にまでしつかりと伝えていかなければなりません。
「平和都市宣言」を掲げ、「平和首長会議」に加盟しております本市におきましても、引き続き市民の皆様とともに核兵器の廃絶と恒久平和の実現を目指してまいります。
2017年7月には、国連で核兵器禁止条約が採択され、核兵器廃絶に向けて歴史的な一歩を踏み出しました。
今後も皆様には、核兵器のない平和で公正な社会の構築に向けて、平和運動の推進に努められますことを念願いたしますとともに、本日の平和行進に参加されました皆様のご健勝とご多幸を心より祈念申し上げ、メッセージといたします。
令和元年6月18日
白山市長 山田 憲昭
◇ 講演要旨 ◇
日米安全保障体制と日米地位協定
非核の政府を求める石川の会
代表世話人 五十嵐正博
Ⅰ サンフランシスコ条約(対日平和条約)・(旧)日米安保条約
ポツダム宣言は、国際法上拘束力があり、そこに規定された日本の非軍事化、民主化などは日本だけでなく、連合国にとっても法的義務でした。日本国憲法が施行されて約四か月後、昭和天皇による、いわゆる「沖縄メッセージ」が発せられ、占領軍の沖縄駐留を25年ないし50年あるいはそれ以上の希望を米側に伝えました。昭和天皇は、自らに対する戦争責任の追及、日本の共産主義化を恐れていました。日本降伏後、米における世論調査では、圧倒的多数が天皇の戦争責任を問い、連合国の中にもそうした強い声がありました。マッカーサーは、一方で日本統治のために天皇制維持が効果的であり、他方で天皇断罪の声を抑えるためにも日本の「特別の戦争放棄」が必要と考えました。9条の発案者が幣原あるいはマッカーサーであるかはさておき、40年代後半になると、アメリカの対日政策は、太平洋における軍事基地化の推進、反共主義の拠点として、日本の占める地位の重要性の認識と朝鮮戦争勃発により大きく転換します。日本の軍事基地化と沖縄の確保が至上命題になったのでした。
1951年9月サンランフシスコ平和条約・(旧)日米安保条約が署名されます。日本との交渉に先立ち、ダレスは『われわれは日本に、われわれが望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保できるだろうか、これが根本問題である』と語っていました。同条約は、すべての占領軍の日本からの撤退を規定しつつ、日本が合意すれば外国軍隊の日本国領域における駐留を妨げないと、米軍の駐留軍としての居座りを認めたのです。そして、米軍は「基地管理権」の下、「必要なまたは適当な権利および権能を有する」とされました。これは、日米地位協定でも「変わることなく」(密約)続いています。
日本の防衛力増強については、(旧)条約で「期待」に留まっていたものが、(新)条約では米国に対する条約上の義務になり、安保体制が完全な姿で確立されました。
Ⅱ(新)日米安保条約
(新)条約は、1960年1月に署名され、6月23日に発効しました。(旧)条約との主な相違点は、米国の日本防衛義務の明確化(共同防衛条項新設)、安保条約と国連との関係の明確化、事前協議制度の導入、内乱条項の削除、条約期限の設定です。
Ⅲ 日米地位協定
米国は、先のダレスが望んだ特権を、(旧)条約によって確保しました。「全土基地方式」と呼ばれる講和後の新たな占領政策は、戦後70年を過ぎた今も、この国の中に広大な米軍基地を、その駐留経費の75%を日本国民に負担させています(韓国40%、独33%。米軍駐留人数(2016年概数):日本3.9万、独3.3万、韓国2.4万)。そして、日本における米軍の法的地位(特権・免除)は、1952年4月発効の日米行政協定で定められました(60年6月発効の日米地位協定が承継)。地位協定によれば、日本は米国に基地を提供し、具体的な基地は日米合同委員会で決めるとしています。この合同委員会は密室で行われ、その合意内容も秘密と、米側の思うがままです。
「思いやり予算」地位協定では、基地の提供にかかる経費、民有地の借り上げ料や基地周辺対策費などは日本側が負担し、在日米軍の維持・運用にかかる経費は米国が負担することになっています。「思いやり予算」とは、地位協定上、日本が負担する義務のない経費だからであり、1978年6月、当時の金丸信防衛庁長官の訪米の折り、「在日米軍の駐留経費問題については、思いやりの精神でできる限りの努力を払いたい」と述べたことに由来します。実は、すでに1971年6月の沖縄返還交渉の中で、地位協定を「柔軟に解釈」する密約が結ばれていました。2015年7月、「思いやり予算」特別協定更新交渉が始まり、2016年1月、2020年度までの5年間で総額9,465億円の思いやり予算を日本が負担する特別協定に署名しました。2020年度末に期限が切れるので、次の改定交渉が始まることになります。
「排他的管理権」(環境立入り調査権・沖縄県警の捜査権)「排他的管理権」とは、基地において、米国側が望まない者による立入りや使用を拒む一方で、「基地の外」でも米国が必要とする一切の措置をとる権利のことです。地位協定は、米国は、施設及び区域内において、必要なすべての措置を執ることができるのに対し、日本側は、米軍の要請があったときは、合同委員会での両政府間の協議の上で、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする、となっています。この場合も、「関係法令の範囲内で」の文言に関して、米側にとって不適当な場合には、合同委員会で議論する(密約)、と結局は米側の言いなりです。
環境立入り調査権については、2015年「環境補足協定」が結ばれました。沖縄県は、遅くとも返還の3年前の立ち入りを希望しましたが、「返還の150日労働日を超えない範囲」と全く無意味なものとされています。
沖縄県警の捜査権について、地位協定の刑事裁判権に関する合意議事録には、米軍の権限ある当局が同意する場合と、重大な罪を犯した現行犯を追跡している場合は、「日本の当局が逮捕を行うことを妨げない」となっています。沖縄県警によれば、米軍の同意はほとんど得られないし、「重大な罪」は「死刑または無期もしくは長期三年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪」を意味し、「事実上の治外法権」状態です。
「刑事裁判権」1952年から1953年10月まで、すべて米国側に裁判権がありました。「一次裁判権の自発的放棄密約」があったのです。地位協定は、「刑事裁判権」について、公務中の犯罪については、すべて米軍側が裁判権を持ち、公務中でない犯罪については日本側が裁判権を持つが、(犯人が基地内に逃げ込んだりして)犯人の身柄が米側にあるときは、日本側が起訴するまで引き渡さなくともよい、とされています。ここにも「日本の当局は通常、合衆国軍隊の構成員、軍属、あるいは米軍の軍法下にある彼らの家族に対し、日本にとって著しく重要と考えられる事例以外は裁判権を行使するつもりはない。」とする「日本側一次裁判権放棄密約」があります。
Ⅳ 日米地位協定の「見直し」「基地の移設」
沖縄県は、米軍基地を巡る諸問題の解決を図るためには、原則として日本の国内法が適用されないままで米側に裁量を委ねる形となる運用の改善だけでは不十分であり、地位協定の抜本的な見直しが必要であると考え、2017年から外国における地位協定の調査を始め、これまでドイツ、イタリア、ベルギー、英国を対象にしてきました。そこから得られた日本との根本的違いは、駐留軍に対する国内法適用の有無であり、日本は米国と対等な立場にはなく、米国の属国であることを明らかにしました。日本政府は、ほとんど意味のない二つの補足協定(環境、軍属)を締結したと言いますが、基地問題が発生するたびに、相も変わらず、運用改善で対応していると言い逃れをしています。全国知事会は、2016年、翁長前沖縄県知事の「基地問題は、一都道府県の問題ではない」との提言を受けて、2018年7月全会一致で日米両政府に地位協定の抜本的見直し、基地の整理・縮小、返還を積極的に促進することなどの「提言」を行いました。基地問題は、「戦争をする国造り」を進める安倍政権の下、「日米軍事一体化」が「深化」する中で、安保条約の存続の是非の問題として考えなければなりません。それは、基地問題に限らず国民生活全般にかかわるのです(軍事予算の増大と社会保障費の削減が典型)。私たちは、人類がやっと手にした「武力行使禁止原則」(国連憲章)、その更なる具体化としての日本国憲法9条を守り、活かしていかなければなりません。
◎6月2日、金沢市文化ホールで開催した非核の政府を求める石川の会第31回総会記念講演(要旨)です。講師の五十嵐正博代表世話人にまとめていただきました。
非核の政府を求める石川の会は、会報「非核・いしかわ」第251号(2019年6月20日付)を発行しました。サイドメニューの会報「非核・いしかわ」、「絵手紙」も最新情報を追加しました。
●サイドメニューの「非核・いしかわ」紹介をクリックすると、A4判にリニューアルした第150号(2011年1月20日付)以降のバックナンバーをすべて閲覧できます。
●サイドメニューの「絵手紙」をクリックすると、第159号(2011年10月20日付)から掲載している金沢医療生活協同組合・絵手紙班の作品をすべて閲覧できます。
『会員エッセー&コラム・第2集』発行に寄せて
会報「非核・いしかわ」編集長 中村昭一
このたび、会報「非核・いしかわ」第250号を記念して、『会員エッセー&コラム・第2集』が発刊されることになりました。2015年4月(第201号)から2019年5月(第250号)までの会報に掲載された〝会員リレーエッセー〟計83編、〝コラム『花鳥風月』〟計50編が収録されています。さらに今回は、極めて重要と思われる当会の井上英夫・五十嵐正博両代表世話人の論稿を4編加えて発行することとしました。執筆を担当してきた一人として、とても嬉しく思います。
言うまでもなくエッセーは、お一人おひとりの多様な経験や知恵や思いのたけの語りをとおして、より心かよう交流の場となり、またコラムは、執筆者の考えを強く反映させることができる特長から、率直な提起や感想を述べることができ、両者とも会報の軸としてその役割を果たしてきたのではないか、と思っています。
一通り読み返してみますと、会員一人ひとりの人となり(人格)が感じられます。言うまでもなく重要なことは、その中身です。〝人格〟とは「道徳的行為の主体としての個人」「自律的意志を有し、自己決定的であるところの個人」です。即ち、様々な課題に対して自らの判断を他者に譲り渡している者は、人格形成という意味では未成熟になります。判断回避ばかりでは、主体的個人となることができません。
本会に参加する者にとって、このような意味を持つ人格、年齢を問わず、より完成させるための継続的努力の一つになっているのが、会員エッセーやコラムの執筆のように思います。非核石川の会でのご縁に感謝の念を抱かずにはいられません。
引き続き新たなる取り組みがありますが、会員の皆様には会員拡大と原稿提出、ならびに〝非核をめざすたたかい〟を引き続きどうか共にしていただきますようお願いして、発行に寄せての言葉とさせていただきます。