2015年NPT再検討会議・ニューヨーク行動に期待すること

  2015年NPT再検討会議に向けて大きな飛躍を ―ニューヨーク行動に期待すること―

非核の政府を求める石川の会

 代表世話人  井上 英夫

 核兵器廃絶は全人類の願いであるにもかかわらず、米・英・仏・ロ・中の5カ国などが保有する核兵器は、未だに世界に約1万7,300発も存在し、核兵器の脅威から今なお人類は解放されていません。また、中近東、アフリカ、ウクライナ等、戦争の火種は絶えません。

 こうした中で、唯一の被爆国の日本はじめ世界の多くの国々が、核兵器廃絶に向けた国際世論の形成や具体的な取り組みを進めてきました。その大きな成果の一つが国連の核兵器不拡散条約(NPT)の取り組みです。

NPT核不拡散条約とは

 核兵器不拡散条約は、1968年7月1日からスタートしました。正式名称を「核兵器の不拡散に関する条約」(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)と言い、核兵器の開発、製造、保有を規制し、核兵器保有国の増加(核兵器の拡散)を防ぐことを目的とした国際条約です。日本は、1976年6月に批准し、世界の190カ国が締結しています。非締結国は、インド、パキスタン、イスラエルですが、北朝鮮は脱退を宣言しています。このNPTは5年ごとに再検討会議が開かれてその運用が見直されています。次回は、2015年4月から5月、ニューヨークの国連本部で開催されることになっています。

 この条約を確実に実行し、核の拡散を防ぐことは、核兵器削減そして核廃止への大きな第一歩となるでしょう。

お金は人権保障に使え

 私は、2010年5月、この再検討会議にプレッシャ-をかけるためのニュ-ヨ-ク「核兵器のない世界のための国際行動デ-」の平和行動に、石川県代表団の団長として参加し、あわせて潘基文国連事務総長に高齢者の人権保障のための権利条約策定の要請をしてきました。

 石川県の代表団は、10名でしたが核廃絶デモへの和服での参加者が世界中の人々から注目され、記念撮影の花形として活躍しました(写真①)。

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 核兵器にノ-、戦争にノ-、そしてその金を、人々のニーズを満たすために使え、というのがニューヨーク行動のスロ-ガンでした(写真②)。すなわち、Basic Human Needs を満たすのが基本的人権Basic Human Rightsに他ならず、その保障のためにこそ国家財政が発動されなければならないということです。

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核廃絶そして非暴力主義

 なお、この平和行動に出席した潘基文国連事務総長はそのスピ-チで、NPTの目標を核削減、縮小にとどまらず核廃絶であると明言しました。そして、この行動中一貫して考えたのは、非暴力主義の可能性でした。核抑止力論、そして防衛、正義の戦争論などに打ち勝ち、核を無くし、戦争を廃絶するためには、絶対非暴力主義しかないのではないか。その意味では、マンデラさんが、南アフリカで実現したアパルトヘイト廃止、白人への報復なしの国づくり。それが何故実現できたか。今も考え続けています。

 以上のような意味でも、平和的生存権を保障した日本国憲法そして日本の平和運動の正しさとその価値を痛感しました。各国の参加者から、日本の核廃絶、平和運動への期待が語られました。

平和的生存権と積極的平和

 その中で、人権としての社会保障と平和に生きる権利すなわち平和的生存権の意味、すなわち憲法前文、9条そして25条についてより深く問う作業が必要だと痛感した次第です。

 今まで、人類は、戦争やテロが欠乏すなわち飢餓や貧困を生みだし、他方、飢餓・貧困こそ戦争の原因となるという歴史をたどってきました。平和的生存権は、こうした歴史に終止符を打とうという人類初の挑戦であり、憲法はまさに世界の先頭を走っています。その意味で、前文、9条と25条、さらに人権の理念としての人間の尊厳を保障する13条は一体であるというべきでしょう。まさに、平和があってこその人権保障です。

 また、逆に、欠乏=貧困と生命・生存を奪われる恐怖から自由であり、すべての人々に人権が保障されてこそ平和な状態ということでしょう。平和とは単に戦争、暴力がない(消極的平和)というだけではなくて、人権が十分に保障された状態というべきです(積極的平和)。また、日常的な人権保障確立のための「不断の努力」(憲法12条)こそ戦争を抑止し、平和に連なる途と言えるでしょう。この意味で、積極的平和(主義)は用いられるべきであり、集団的自衛権の行使、そして戦争する国への憲法改正を進める安倍政権の主張は全く間違っています。

高齢者権利条約制定から平和へ

 2010年5月3日、日本高齢者NGO代表団の一行は、前日のNPT(核不拡散条約)再検討会議へ向けた「核兵器のない世界のための国際行動デ-」の平和・核廃絶デモの余韻の残るニューヨークの国連本部に高齢者の権利条約策定の要請に行きました。

 そして、今年の8月に条約制定のための第5回ワーキンググループに出席しました(写真③)。また、来年5月にも人権条約制定の要請に行く予定です。高齢者権利条約制定が、核廃絶そして世界平和に連なるという確信を持っているからです。

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2015年NPT再検討会議にむけて次の四点を呼びかけます。

(1) ニュ-ヨ-クの平和行動、再検討会議に向けて、世論を大きく盛り上げ核廃絶への道を確たるものにしましょう。

(2) 安倍政権の憲法改悪、軍事国家路線を阻止し、平和主義を堅持し憲法をより豊かに発展させましょう。

(3) 高齢者権利条約制定はじめ人権保障を確立し、平和な福祉国家を築きましょう。

(4) 原発に固執する安倍政権の真の狙いは、核保有にあると思います。核兵器と原発を一体のものとして廃絶しましょう。

 

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