年頭所感 「若者に問いかけよう-硬軟自在に」 (井上英夫)

 2018年  年頭所感

「若者に問いかけよう-硬軟自在に」

代表世話人 井上英夫

 明けましておめでとうございます。

 安倍政権が、憲法改悪に大きく踏み出した今年は日本の歴史にとって分岐点となるでしょう。五十嵐正博さんも言うように「若者よ、君たちはどうする」、今こそ真剣に問いかけなければならないと思います。何より、戦場に駆り出され、殺し、殺される可能性が高いのは今の若者なのですから。

 ところが、大学生にそうした戦争・徴兵制すら迫っているという危機感、切迫感はほとんど感じられません。それどころか、昨年ショックを受けることが起きました。

 時代遅れじゃありませんか

 1年生を対象に人権・ジェンダー論を講義し、第二次大戦の悲惨な結果への反省に始まる現代の平和と人権の歴史を話しています。ナチスのホロコースト、日本については、原爆等被害者の側面だけでなく731部隊、慰安婦問題など加害者責任についても話し、それらが今につながっていることを強調しています。

 感想のなかに、先生の話は「時代遅れだ」というものがありました。大学で、40年以上若者と接してきたわけですが、初めての反応でショックを受けました。

 このような、学生たちに何を、どう伝えたらよいか。今は、多様な媒体、表現により「硬軟」両面から若者に語りかけるしかないと思っています。

 

 硬派で迫る「革命」路線

 まず、硬派からですが、昨年『社会保障レボリューション―いのちの砦・社会保障裁判』(高菅出版)を出版しました。

 表題を勇ましく、レボリューション=革命としたのは、憲法上許されない不平等・差別の拡大、生命権すら奪われている事態に対して、今こそ、人権としての社会保障の旗を掲げ、憲法97条が認める「革命」・レボリューションを起こすしか道はない、と思ったからです。 

 

 

 

 

 ソフトに「ゆるきゃら」路線で

 そして、ソフト=ゆるきゃら?路線としては、『ペリリュー-楽園のゲルニカ』(白泉社)です。1944年、日米両軍約13,000の若者が無残な死を遂げたペリリュー島の戦闘を描いた漫画です。

 作者の武田一義さんは、「漫画である以上読みやすく面白く」と言うのですが、第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受けています。ちばてつやさん直筆の表彰状には、「可愛らしい温もりのある筆致ながら『戦争』という底知れぬ恐ろしさと哀しさを深く表現して見事です」とあります。

 『はだしのゲン』、水木しげる、とも違うこんな「路線」もあるのだなー、と「痛快」な気持ちになりました。今、2月末に出されるという第四巻を心待ちにしています。

 以上、是非ご一読ください。

 

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