年頭所感 沖縄から希望をつなごう 五十嵐正博代表世話人

   2015年 年頭所感

沖縄から希望をつなごう

非核の政府を求める石川の会代表世話人 五十嵐正博

  敗戦の日から70年目、安倍政権の下、「戦争をする国づくり」が着々と進められています。「戦後何年!という言い方がずっーと続いてほしい」、新たな「戦争」の足音に警鐘を鳴らす吉永小百合さんの言葉です。「戦後」を途切れさせてはならない、二度と戦争をしてはならないとの訴えです。

 安倍内閣は、昨年4月1日に、武器輸出三原則に代わる「防衛装備三原則」を閣議決定し、7月1日、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、12月10日、特定秘密保護法が施行され、すでに「特定秘密」の指定が始まりました。

 12月21日の総選挙は、戦後最低の得票率(52.6%)を記録し、与党自公は小選挙区、比例代表いずれにおいても50%を下回ったにもかかわらず、選挙制度のマジックにより、議席率で前者が79%、後者が69%を占めることになりました(有権者総数からすると自民党は小選挙区で24%、比例で17%にすぎない)。安倍首相は、この結果に「信任を得た」と言い張り、念願の「戦争をする国づくり」を加速させようとしています。

 今年に入ると、ODA新大綱を閣議決定して、「積極的平和主義」に基づき「非軍事分野」での他国軍支援を可能にし、自衛隊の海外派兵恒久法制定が目論まれ、はたまた集団的自衛権に基づいて自衛隊が武力を行使できる「存立事態」という概念を新たに設けて「切れ目のない法制」を作るのだと。

 九条がある限り、いくら荒唐無稽な「解釈」をしようと、「切れ目のない法制」を作ることは出来ません。「宣戦布告」の権限は?(九条は「交戦権」を否認している。明治憲法第一三条天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス」)戦死者はどうなる?(米国は約28万人の職員と年間予算約9兆円の「退役軍人省」をもつ)「軍法会議」の設置は?(憲法七六条二項は、特別裁判所の設置を禁止する)、などなど憲法に反する問題点は山のようにあります。今年は「戦争をする国」にさせない正念場になります。

 こうして、この国のほとんど絶望的な政治状況の中で、南の島から一筋の希望の光がさしているのが見えています。その光は、琉球・沖縄が400年もの長きにわたりヤマトから侵略され、処分され、差別され、はては集団自決を迫られてきたことに対する激しい怒り、深い悲しみの反射なのでしょう。そうした暴虐の歴史を「なかった」と強弁し、さらには住民の圧倒的多数の反対を無視して新たな恒久的米軍基地を辺野古に、ヘリパッドを高江に作ろうとしている「腐りヤマトゥ政権」(芥川賞作家、目取真俊さんの言。目取真さんは、辺野古に張り付いて抗議活動を続けている)を射抜こうとする怒りの光なのです。

 その光は「オール沖縄」に結集し、名護市長選に始まり、名護市議選、沖縄県知事選、衆議院選を「腐りヤマトゥ政権」に対する勝利に導きました。

 沖縄の人たちの激しい怒りの源は、ヤマトにより「人間の尊厳」を踏みにじられ続け、人間として認められてこなかったから、72年の本土復帰によっても、日本国憲法の適用外に置かれてきたから、と昨年加賀市で講演された太田昌秀元沖縄県知事は語られました。沖縄の人たちは、人権を蹂躙されてきたがゆえに「人権の尊重」を願い、沖縄戦の悲劇を経験したがゆえに、「基地のない沖縄、平和な沖縄」を願うとも語られました。

 権力側は、いつの時代にあっても、また洋の東西を問わず「分断・統治」を支配の常とう手段にしてきました。それは、植民地支配の手段であるだけでなく、軍事基地、原発建設の反対派を弾圧する卑劣なものでもあり、臆面もなく、平然と、地域社会を崩壊させ、はては家族関係までもズタズタにしてきました。札束で反対派住民の分断を図り、「沖縄振興予算」を削減すると脅します。ここでも、ハンナ・アーレントの言う「悪の凡庸さ」が見て取れます。

 しかし、沖縄は屈しない。瀬長亀次郎さんの信条「不屈」精神が生きています。腐れヤマトゥ政権、恥知らず政権の脅しには、決して屈しはしないさ。沖縄には、「自己決定権」がある、沖縄の人たちのゆるぎない抵抗の根底にある確信です。

 沖縄から発せられている希望の光を、「お上の言うがまま」に、あるいは無自覚に沖縄を抑圧してきたヤマトの私たちは、自らの導きの光としなければなりません。

 私は、一昨年の本欄で、「権力がもっとも恐れるのは、『権力に立ち向かう連帯の輪』が広がること」と述べましたが、沖縄の多くの人々と接して、口先だけの「連帯」を言うことに恥入るばかりです。

 「議論より行動を!」

 「座り込みの現場に来てくださいね!」

 「多くの人が集まれば基地建設を止められるんです!」

 今年は、沖縄から発せられた希望をヤマトにつなぐ年にしましょう。そして、「戦後」を途切れさせようと、あの侵略戦争の甚大な被害・加害双方について「なかった」ものとし、新たな「戦争」を企てるあらゆる策動に立ち向っていきましょう。

 辺野古に新軍事基地を作らせないために、高江にヘリパッドを作らせないために、この国を「戦争をする国」にさせないために、原発再稼働をさせないために、核兵器廃絶のために、人間が人間らしく生きられる国にするために。 

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