12・9 「核兵器禁止条約の力と非核の政府を語る」シンポジウム報告

2017年非核の政府を求める会シンポジウム(12月9日、日本大学理学部会議室)

   非核の政府を求める会主催の「核兵器禁止条約の非核の政府を語る」シンポジウムが2017年12月9日(13:00-17:00)、御茶ノ水の日本大学理学部会議室にて開催された。

 最初に主催者を代表して野口邦和代表世話人の挨拶の後、駒場忠親常任世話人の司会でシンポジウムが進行した。まず、大阪女学院大学大学院教授の黒澤満氏は、「核兵器禁止条約は、この間の核軍縮への人道的アプローチと、多国間核軍縮が進まない、CTBTが進展しないなど核保有国がNPT6条を守らないことに対する非核兵器国のフラストレーションの高まりを背景にして採択されたものである。ただ、核兵器国の抵抗も強く、今後の課題として、核兵器に悪の烙印を押す(Sigmatize)、核兵器の非正当化をすすめる(Delegitimize)という運動が必要だ」と話された。

 日本原水協代表理事の高草木博氏は、「核兵器禁止条約の最大の成果は、国連憲章や国連総会第1号決議などとの法的ギャップを埋めたことにある。国連総会での『多国間核軍縮交渉の前進決議』は125カ国が賛成(禁止条約の採択は122カ国)した。反対は39カ国で、NATO加盟国プラス日本や韓国やオーストラリアだった。日本決議は、12月5日の国連総会で第1委員会の決議144カ国から156カ国に増えたと外務省は強調しているが、この決議には大きな問題がある。この日本決議についてスウェーデンとスイスが、投票理由説明という形で発言し、自分たちは賛成票を投じるが、この決議案には重大な懸念があり議事録にとどめざるを得ないとして、いくつかの点を指摘した。両国は日本決議の中の、NPTの合意文書である『核兵器の廃絶を達成するという核保有国の明白な任務を再確認する』という内容を『核保有国のNPT条約の完全な履行という任務を再確認する』という文言に変えた点、さらに、『核兵器のあらゆる使用の壊滅的な人道上の結末への深い懸念』という、あらゆる(any use)のanyを削りuseにしてしまった点などを指摘し、これまでのNPTの合意レベルを低下させてはいけないと釘を刺した。日本政府は、核兵器国と非核兵器国との橋渡しをするといいながら、核兵器国の代弁者としての役割を果たしている」と日本政府の立場を批判した。

 東京慈恵会医科大学教授の小澤隆一氏が特別発言として「安倍流北朝鮮の脅威・9条改憲論を斬る」というテーマで報告し、「安倍政権が、ことさら北朝鮮の脅威を振りまき、『国難』と呼んで、国民に不安を募らせ、一気に9条の改悪を行い、さらには、アメリカの核の傘に頼ることの危険性」を指摘された。

 日本弁護士連合会の核廃絶PT所属・憲法問題対策本部委員の森和恵氏が報告した。森氏は、まず今年の3月に参加したマーシャル諸島視察と国連核兵器禁止条約交渉会議の視察の報告をした後に核兵器禁止条約の中身を説明、今後の課題として「核兵器禁止条約への署名と批准を働きかけること、日本での非核三原則の法制化を行うことの重要性」を述べた。

 非核の政府の会の常任世話人で日本共産党の衆議院議員である笠井亮氏が発言し、「この核兵器禁止条約は、核兵器を史上初めて『違法化』したものであり、国際政治の主役の交替であり、各国政府と市民社会のコラボの成果であると強調した。それに対し、かつての植民地国が大国の言いなりにならなくなってきている中で、アメリカ言いなりの被爆国日本の立場を批判、日本政府の主張は、ことごとく破綻しており、9条をもつ唯一の戦争被爆国日本が条約に参加することによって核兵器の廃絶への展望が開く」と強調した。

 最後に特別発言として、「被爆者証言の世界化ネットワーク」の長谷邦彦氏が、被爆証言を多国語に翻訳している活動を紹介。現在、101の被爆証言を翻訳したことを報告された。長谷氏は、「核兵器の非人道性は、ヒバクシャが長らく訴えてきたものであり、日本人だけが核兵器の廃絶を訴えても国際世論を動かすことはできない。世界中の人たちに被爆の実相を知ってもらうことが大切である」と強調された。

 シンポジストの報告の後、フロアからいくつかの質問、意見があり、最後にシンポジストのまとめの報告があり、非核の政府の会の常任世話人の高橋和枝氏のまとめにて閉会した。

(報告者:非核の政府を求める会常任世話人 原和人)

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