2015年 5月

 会報「非核・いしかわ」202号に掲載した「NPTニューヨーク平和行動 平和と人権」の追加報告が筆者の井上英夫氏から寄せられましたので本会ホームページに紹介します。また、ホームページの5月20日付<新着情報>にも下記の追加報告をアップしました。

 

 NPTニューヨーク平和行動―平和と人権の旅(追加報告) 

 代表世話人  井上 英夫                                       

   被害者と加害者

 日本に帰って、5月14日、再検討会議の最終文書案から、日本の提案を反映し世界の指導者、軍縮専門家、若者に広島・長崎訪問、被爆者の証言を聞くように呼びかけた提案が、中国等の反対により削除されたというニュ-スが流れました。

   中国の傅聡軍縮大使は、記者団に対し「日本政府が、日本を第2次世界大戦の加害者でなく、被害者として描こうとしていることに私たちは同意できない」と述べたということです。

 日中関係がどうあれ、核廃絶という人類的課題にとって被爆地訪問は当然のことであり、中国の態度は間違っていると思います。したがって当然提案は復活されるべきでしょう。

 他方、中国の主張、日本が加害者であり、中国・朝鮮等アジアの国々を侵略したという歴史的事実にも目を向けるべきでしょう。南京大虐殺記念館(侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館)、ハルピンの日本軍731部隊博物館(侵華日軍731部隊罪証陳列館)を訪問し、そして日本軍慰安婦とされたオモニへの聞き取りをしてきた私にとって、日本軍の侵略と残虐行為すなわち日本が加害者であったことは紛れもない事実と言わざるを得ないのです。

 さらに、この問題を考える場合、国と国民の関係もしっかり考えなければなりません。加害者というとき最大の加害責任は政府・国が負うべきです。憲法の前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と言っているように、戦争は政府の行為によって引き起こされるのですから。そして被害者はいつでも国民であり庶民なのですから。

 この意味でも各国指導者とくに中国の指導者に被爆地訪問を求めると同時に日本政府・安倍首相は日本の侵略・残虐行為への加害者責任を明確に認め、必要な謝罪・賠償等の措置をとるべきです。

 今こそ、日本政府・安倍首相の態度が問われています。軍事や暴力でなく領土問題はじめ、国際問題を解決するその外交力が問われています。

 これもまた、憲法前文のいうように、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」のであって、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するために努力してこそ、「国際社会において、名誉ある地位を占め」ることができるでしょう。

 NY平和行動に先立つ、今年2月には長崎平和公園、そして3月初めにはハワイでパ-ルハ-バ-・アリゾナ記念館に行きました。戦争・平和そして人権とりわけ平和的生存権について考えたのですが、残念ながら日本人の姿は少なかったのです。ワイキキビ-チは、日本人で埋め尽くされていたのですが。それにくらべ、中国の人々の姿が目立ちました。長崎では団体客が沢山見られました。

 国と国の間の外交力が大事なのはもちろんですが、国民レベルでの相互交流、親睦による信頼関係の構築こそ核廃絶、平和社会実現への途だと思います。

 

 NPTニューヨーク平和行動-平和と人権の旅

代表世話人 井上  英夫

 今年、広島・長崎被爆70年を迎えます。そして、福島原発爆発から4年がたちました。

 日本も世界も大きな転換点を迎えています。とりわけ、集団的自衛権行使、そして憲法改悪により軍事国家への道を突き進む安部政権下の日本では、第二次大戦後の1950年代の朝鮮戦争・再軍備時代に匹敵するような危機的状態を迎えていると言えるでしょう。

 その意味で、今回のニュ-ヨ-ク平和行動の意味は非常におおきなものがありました。

 被爆70年の4月27日から開始された国連のNPT(核不拡散条約)再検討会議にむけた平和行動に非核の政府を求める石川の会、そして原水協石川県代表団として参加してきました。

 石川の皆さんの平和に対する熱い思いを背に、NYを中心とする、署名行動、パレ-ド、各種集会参加等活動してきました。皆さんのカンパをはじめとするご協力・ご支援に感謝いたします。

 ニュ-ヨ-ク平和行動の目的

 NPT・核不拡散条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)とは、米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国だけに核兵器保有を認め、それ以外の国への核拡散を防ぐことを目指した条約です。70年に発効。約190カ国が加盟している。事実上の核保有国であるインドパキスタンイスラエルは未加盟で、北朝鮮は一方的に脱退を宣言しました。5年ごとに運用状況を確認する再検討会議があり、前回2010年は核廃絶に向けた行動計画を盛り込んだ最終文書を、全会一致で採択しました。

 2010年の行動にも参加しました。原水協等主催の国際平和会議に出席した潘基文国連事務総長が演説し、核不拡散、核兵器削減から一歩を進め、「核廃絶」を明言したこと、その演説を世界の人々と聞き、震えるほど感動したこと、さらに、被爆国日本の平和運動への各国の期待が想像以上に大きかったことに身の引き締まる思いがしたことなどを思い出しながらの13時間のフライトでした。

 今回、第9回の再検討会議の目的は、2010年の核廃絶に向けた合意の具体化と実行に踏みだすことです。したがって、NNY平和行動の目的は世界の人々と連帯し、法的拘束力を持つ核廃絶措置すなわち核兵器全面禁止・廃絶条約のための交渉を開始するよう、国連及び各国政府にプレッシャ-をかけることでした。

 

 署名行動と平和パレ-ド

 日本の代表団は、多様な活動を展開しました。石川の皆さんと一緒に行動できたのは、セントラル・パ-クでの署名行動と平和パレ-ド参加でした。

 4月26日午前中、NYは快晴でした。新緑と桜、アメリカはなみずき(何故かdog woodというそうです)、豆梨の花等咲乱れるセントラルパ-ク入り口で署名行動を展開しました。さすが、活動で鍛えられている皆さん、なかなか上手で、前回を上回る数の署名が得られました。写真1。

 NY行動 1

写真1 通り過ぎる人にも、めげずに署名を呼び掛ける

 午後から、NY国連前のハマ-ショルド広場に向けてパレ-ドです。石川の代表団も横断幕を掲げ、和服で行進しました。写真2。前回に比べ日本代表団は和服そして仮装や横断幕等楽しく工夫を凝らしているのが目立ちました。

 NY行動 2

 写真2. 和服で行進する石川県代表団

   パレ-ドには、1万人が参加したそうですが、日本代表団の活躍が目立ちました。行進は、2時間以上、集会を含めると4時間近い強行軍でしたが、乳母車から、高齢の方まで歩き通し、アメリカはもちろんフランス、韓国、中国等各国の人々と交流できました。行進は、歌を歌い、楽器もならし、シュプレヒコ-ルもあり、にぎやかなものでしたが、泣く子も黙るNY市警の「警護」(監視)のもとに整然と行われました。ここでも5年前と違うのは、銃を持ち、手錠を二つぶら下げた警察官が意外と友好的な笑顔を投げかけてくれたことでした。写真3.

 NY行動 3

写真3 折鶴を喜ぶNY市警のお巡りさん

 行進の最終地点は、国連前のハマ-ショルド広場でした。ここで、国連代表に日本からの約633万の署名を積み上げ届けました。写真4。

NY行動 4

 写真4. 国連代表に提出した633万筆のアピール署名

 日本の運動が、世界の平和運動に大きな貢献をしているという実感が持てた瞬間でした。ただ、残念なのは、年々パレ-ド参加者が減っていることです。あらためて日本からの呼びかけも強める必要があるでしょう。

 

 NPT再検討会議と日本政府

 もう一つ残念なのは、日本政府の態度です。4月28日には、岸田外務大臣が国連本部で会議に出席し演説し、平和首長会議主催のヒロシマ・ナガサキアピール集会にも出席ました。被爆地広島出身の外務大臣として,被爆地の思いを胸に「核兵器のない世界」に向けた取組を前進させる決意を述べたそうです。しかし、その提案は、 「核戦力の透明性の確保」というような抽象的なもので、何より、核兵器全面禁止条約を含む法的枠組みの必要性については言及すらしていません。

 4月29日には、安倍首相は、日本の首相として初めてアメリカ合衆国連邦議会の上下両院合同会議で演説を行っっています。国連よりも、「同盟国」アメリカに頭を下げ、こびへつらいに行ったということでしょう。

  情けない、ほこりも何もない。内では、侵略につながる集団的自衛権行使、憲法改悪をねらい、外では「平和」、第二次大戦に対する「痛切な反省」と言葉を使い分ける「二枚舌」内閣であることがますます明白になりました。

 安倍首相の外向けの演説の内容は、憲法前文の趣旨に外れるものではありません。だとするなら、なぜ改憲しなければならないのか。全く解せません。しかし、安倍内閣の「うち向け」が本質であることは、NYで外から見てはっきりわかりました。

 平和の運動を一層強めてこの安倍内閣を打破しましょう。

 憲法97条と人権

 平和行動で考え続けたのは、平和と人権のことでした。平和でなければ人権が保障されない。すべての人にあまねく人権が保障されてこそ真の平和である。これこそ積極的平和のほんとうの意味なのです。

 人権保障の運動は、まさに、平和運動です。私達は、国連NGO日本高齢期運動サポ-トセンタ-として国連に高齢者人権条約制定の要請にも行きました。また、アメリカ独立宣言の起草されたフィラデルフィアの独立記念館そして南北戦争の最激戦地ゲティスバ-グで、奴隷解放をしたリンカ-ン大統領の有名な「人民の、人民による、人民のための政府」演説の場所にも立ちました。そして、9.11メモリアルパ-クにも。

 痛感したのは、戦争そして核兵器廃絶の途も個人から国家までの「非暴力」の徹底しかないということでした。そして、憲法の保障する人権は、「人類の多年にわたる自由獲得の努力(struggle-闘い)の成果」であるとする、憲法97条の歴史観のすごさと大切さでした。

 自民党憲法草案では、全文削除となっていることを改めて想起せざるにはいられません。

NY平和行動を契機に「平和と人権のための闘い」を一層強力に続けましょう。

 

   被害者と加害者

 日本に帰って、5月14日、再検討会議の最終文書案から、日本の提案を反映し世界の指導者、軍縮専門家、若者に広島・長崎訪問、被爆者の証言を聞くように呼びかけた提案が、中国等の反対により削除されたというニュ-スが流れました。

 中国の傅聡軍縮大使は、記者団に対し「日本政府が、日本を第2次世界大戦の加害者でなく、被害者として描こうとしていることに私たちは同意できない」と述べたということです。

 日中関係がどうあれ、核廃絶という人類的課題にとって被爆地訪問は当然のことであり、中国の態度は間違っていると思います。したがって当然提案は復活されるべきでしょう。

 他方、中国の主張、日本が加害者であり、中国・朝鮮等アジアの国々を侵略したという歴史的事実にも目を向けるべきでしょう。南京大虐殺記念館(侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館)、ハルピンの日本軍731部隊博物館(侵華日軍731部隊罪証陳列館)を訪問し、そして日本軍慰安婦とされたオモニへの聞き取りをしてきた私にとって、日本軍の侵略と残虐行為すなわち日本が加害者であったことは紛れもない事実と言わざるを得ないのです。

 さらに、この問題を考える場合、国と国民の関係もしっかり考えなければなりません。加害者というとき最大の加害責任は政府・国が負うべきです。憲法の前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と言っているように、戦争は政府の行為によって引き起こされるのですから。そして被害者はいつでも国民であり庶民なのですから。

 この意味でも各国指導者とくに中国の指導者に被爆地訪問を求めると同時に日本政府・安倍首相は日本の侵略・残虐行為への加害者責任を明確に認め、必要な謝罪・賠償等の措置をとるべきです。

 今こそ、日本政府・安倍首相の態度が問われています。軍事や暴力でなく領土問題はじめ、国際問題を解決するその外交力が問われています。

 これもまた、憲法前文のいうように、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」のであって、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するために努力してこそ、「国際社会において、名誉ある地位を占め」ることができるでしょう。

 NY平和行動に先立つ、今年2月には長崎平和公園、そして3月初めにはハワイでパ-ルハ-バ-・アリゾナ記念館に行きました。戦争・平和そして人権とりわけ平和的生存権について考えたのですが、残念ながら日本人の姿は少なかったのです。ワイキキビ-チは、日本人で埋め尽くされていたのですが。それにくらべ、中国の人々の姿が目立ちました。長崎では団体客が沢山見られました。

 国と国の間の外交力が大事なのはもちろんですが、国民レベルでの相互交流、親睦による信頼関係の構築こそ核廃絶、平和社会実現への途だと思います。

 

   非核の政府を求める石川の会は会報「非核・いしかわ」第202号(2015年5月20日付)を発行しました。

 サイドメニューの会報「非核・いしかわ」、「絵手紙」も最新情報を追加しました。

●「非核・いしかわ」紹介をクリックすると、A4版にリニューアルした第150号からバックナンバーを閲覧することができます。

●「絵手紙」をクリックすると、第159号から掲載している金沢医療生活協同組合絵手紙班の作品もすべて閲覧できます。

2015年5月11日

 県内自治体総務担当課(平和事業担当)御中 

2015年度平和事業に関する自治体アンケートのお願い  

      非核の政府を求める石川の会

代表世話人 井上  英夫

五十嵐正博 

 住民の暮らしの向上、地方自治の発展のため貴職のご活躍に敬意を表します。

 非核の政府を求める会は、核兵器のない平和な世界と日本の実現のために、日本政府が唯一の被爆国であり平和憲法をもつ国にふさわしく積極的な役割を果たすことを求めて1986年5月に設立され、私たち非核・石川の会は1988年8月に設立されました。 

 被爆70年の今年、4月27日から5月22日まで国連本部で開かれている2015年核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、「核兵器のない世界の平和と安全を達成する」「そのための枠組みづくり(=核兵器禁止条約の締結)」の具体化、実行に踏み出すことができるかが焦点になっています。

 世界の反核平和団体が、NPTの開催時期に国際共同行動(ニューヨーク行動)を呼びかけ、原水爆禁止日本協議会による「核兵器全面禁止のアピール」署名(630万筆)、平和首長会議による核兵器禁止条約の交渉開始等をもとめる市民署名(200万筆)が国連本部に提出されました。今回のNPT・ニューヨーク行動には日本から1,000人以上、石川県からも10数人が参加し、NGO集会、パレード、アピール署名、NPTの傍聴、原爆展、被爆証言、各国政府代表部への要請など多彩な行動に参加しました。 

 平和首長会議(会長 松井一實・広島市長)は、4月29日、NPT再検討会議開催中の国連本部でニューヨーク集会を開き、2020年までの核兵器廃絶の実現に向けた新たな決意を示す「ニューヨークアピール」を採択し、国連、各国政府関係者に要請しました。

 平和首長会議には、国内では1,741市町村のうち1,560市町村(89.6% 2015年5月1日現在)が加盟しています。加盟自治体では、国民平和大行進や原水爆禁止世界大会への賛同署名、原爆展への開催協力など、年々草の根の市民運動との共同が広がっています。

 しかし、県内での加盟自治体は19市町のうち10市町(金沢市、七尾市、珠洲市、かほく市、野々市市、川北町、内灘町、津幡町、志賀町、中能登町:52.6%)にとどまっています。 

 私たち非核・石川の会では、戦後・被爆70年の節目の年にふさわしく、県内での平和首長会議への加盟自治体がふえることと、全ての自治体で主体的・自主的な平和事業が展開されることを期待して、本年度も県内自治体アンケートを行います。

 つきましては、別紙の「2015年度平和事業に関する自治体アンケート(回答書)」にご記入いただき、5月30日(土)までにファックスにてご返送くださるようお願い致します。

 なお、当会事務局への返送方法はEメールや郵送でも結構です。                                     

       (事務局)〒920-0848 金沢市京町28番8号 石川民医連労働組合気付

電話:076-251-0014       FAX : 076-251-3930

非核の政府を求める石川の会(担当者 神田)

<同封資料>

①  2015年度平和事業に関する自治体アンケート(回答書)

②  2014年度平和事業に関する自治体アンケートの集約結果(2014年6月調査)

③  非核・石川の会会報「非核・いしかわ」バックナンバー

      http://hikakuishikawa.com/kaiho/

 

<声明>

核不拡散条約の開会総会への事務総長のメッセージ

(ヤン・エリアソン事務次長が紹介)

2015年4月27日、ニューヨーク国連本部にて

   潘基文事務総長に代わり、この重要なNPT会議出席のすべての代表のみなさんを国連にお迎えできることを名誉とし、事務総長に代わり以下のメッセージをお届けする。

   その前にもうひとつ、事務総長に代わり、国の大きな部分を襲った巨大地震に続く悲しみと人道的苦しみの中にあるネパールの国民と政府のみなさんに、心からの哀悼と弔意を表明する。

   核兵器の廃絶は国連にとって最優先事項である。この世にあれほど残忍な惨害をもたらしうる兵器は他にない。不拡散条約は不拡散体制の土台であり、核兵器のない世界を実現するための不可欠の土台である。

   タウス・フェルーキ大使の会議議長への指名に祝意をおくる。それは困難で骨の折れる役割である。だが私は、フェルーキ大使が加盟各国の協力のもとに成功裏に結果を出すことができると確信している。私たちのだれもが、核兵器のない世界がすべての国に利益をもたらす重要な地球的公共財であることを想起しなければならない。

   この再検討会議は、核不拡散条約がひき続きわれわれの集団的安全保障のなかで中心的役割を持つことを保証するためのものである。NPTの枠組みが、発効50年にあたる2020年には何のためのものになるのか、明確な道筋を示すべきものだ。

   私は加盟各国が条約を強化する結果を生み出すためにこれからの数週間、骨身を削り、建設的に活動するようよびかける。私たちが必要とする結果とは、条約の普遍性を促進し、すべての締約国によるすべての条項の順守を保証し、核兵器拡散の阻止と廃絶の達成というNPTの原則目標を強化するものだ。みなさんが共通の土台をつくり、包摂的な態度をとり、柔軟さを発揮するよう求めたい。

   私はすべての締約国に市民社会グループとの関わりを深めるよう促したい。彼らはNPTの規範を強め、軍縮を促進するうえで重要な役割を果たしている。現在の再検討会議の準備過程でも、2015年NPT再検討会議議長と国連とは、市民社会グループから、この会議の成功と核兵器の廃絶をよびかけるいくつかの要請署名を受理した。

   これらの要請署名は、世界の関心ある市民から何百万もの署名を集めている。これは、われわれが服務する人々の希望と期待とを力強く想起させるものだ。われわれは、何年ものあいだ軍縮を擁護し、かくも多くのことをおこなってきた多くの人々と団体とに感謝する。この事業への彼らの原則的な努力に、私は全面的な支持を誓いたい。

   2010年には、64項目の行動計画での合意と15年の無活動の後におこなわれた1995年中東決議での進展とが再検討会議の成功という結果をもたらした。行動計画は国際的コンセンサスの頂点をなすもので、条約の目標を達成するロードマップを与えるものであった。

   今回の会議では、いかにしていつこの行動計画が履行されるのか、あるいは実際的妥当性を失っていく危険に陥るのか、いまや示さなければならない。そのような進展は、一つひとつの締約国がNPTの相互に強めあう柱の一つひとつのもとにある義務を順守するよう要求している。

   本質的に、NPTとは、一方で核軍備撤廃、もう一方で不拡散という共生的関係によって支えられる大取引なのである。一方の進展なくしてもう一方の進展はあり得ない。両方での進展は誰にとっても利益なのである。

   前回の再検討会議以来、核兵器による危険はなお存在している。拡散の挑戦も、朝鮮民主主義人民共和国に関するものを含め、続いている。

   だが、E3プラス3あるいはP5プラス1とイランとの間で到達した重要な理解は、その種の挑戦を外交で処理することが可能であることを証明した。最終文書は、国際原子力機関によって検証され、不拡散問題での進展を別にしても、深刻な地域の安全保障問題を緩和するうえで役に立つだろう。

   中東非核・非大量破壊地帯は、その種の合意から生じる軍縮と不拡散での前進に加えて、本質的な利益をもたらしうる。

   準備担当者のラーヤバ大使の確固とした努力、そして国際社会の結果への期待にもかかわらずほとんど何の進展も得られなかったことは残念だ。再検討会議は同地域の各国がこの問題に関し、共通のビジョンと共通の目的をもって前進できるような手段の追求に焦点をあてなければならない。

   1990年から2010年までの間、国際社会は核兵器のない世界に向かって大胆な前進を遂げた。配備された軍備で大規模な削減がおこなわれた。いくつかの国では兵器工場を閉鎖し、より透明な核ドクトリンへと印象的な前進をなした。

   私は、この5年、このプロセスが停滞してきたように見えることを深く憂慮している。とくに核兵器ゼロへの流れが逆転していることを示す最近の情勢はとりわけ不安にさせられる。新たな軍備削減合意へと前進するのでなく、現存の合意を危うくするような侵害があるとの申し立てがある。

   包括的核実験禁止条約の発効や核兵器用の分裂物質生産禁止条約ではなく、核兵器を今後何十年にもわたって固定化する巨額の近代化プログラムを目の当たりにしている。私の提唱した5項目提案を含め、核軍備撤廃を加速する提案を追求するのでなく、冷戦心理への危険な回帰が起こっている。

   この逆転はわれわれの世界にとって後退である。私は、各国の指導者に、近視眼的政治姿勢を捨て、人類の必要に応えた大胆でグローバルなビジョンを掲げるよう呼びかけたい。真の国家安全保障は、核脅迫の影の外で、そこから離れたところでのみ達成しうる。この影は現在と未来の世代のために取り除かれるべきである。

   これは、70年前の8月、核攻撃を生き延びた被爆者のメッセージだ。核軍備撤廃の緊急性を疑う者に対して、私は、彼らの体験を聴くよう挑戦したい。これらの勇気ある、不屈の人々の目を直視するよう反論し、核兵器が何をもたらすのかもっとよく知るべきだと言いたい。彼らは、核兵器の恐るべき人道的影響と、核兵器廃絶の緊急の必要性を思い起こさせる生きた証拠としていまこちらに来ている。私はこれらの証言者が参加されていることに感謝し、現在の会議が彼らの警告に耳を傾け、結果を出すよう求める。

   この努力で私は、人道的な検討を軍縮審議の中心に据える有望な流れの広がりに励まされている。この人道的運動は凍りついた討論に道徳的な至上命令を注入した。この至上命令は、再検討会議でも真剣な検討の対象とされるべきである。

   これからの数週間は、核兵器がもたらす危険を除去するために共有する意欲の前進を追求する上で、意欲を掻き立てるときである。これはわれわれの時代の歴史的な至上命令である。みなさんが緊急の意識を持って行動し、すべてにとってより安全な未来を求める世界の人びとがみなさん方に課した責任を果たすよう呼びかける。

石川県内の行進の様子を毎日写真入で報告

2015.6.15 森本駅前②

・能登コース &富山~広島コースを行進しました。

会報 非核・いしかわ

絵手紙コーナー

広島被爆絵画

石川の会・沿革

アーカイブ